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Cafe MIMIK(MIMIK)

第53回 CafeMIMIK 2008ベストブックス

CafeMIMIK 2008ベストブックスを発表します。

1位 平松剛「磯崎新の都庁 戦後日本最大のコンペ」文藝春秋

現在の東京都庁は、丹下健三の作品です。ですが東京都が主催した
コンペの過程で出てきた、磯崎新の平面案は今なお、語り次がれる
案だったのです。

磯崎新は、戦後日本を代表する建築家です。
僕は建築家(建築士のことではなく)を深く尊敬している。
建築家は、芸術家であるにもかかわらず、自分の作品について
語り説明することができなかればならない。

ランドスケープデザインを勉強していた学生時代、磯崎新の
建築を日本各地に追い求めていたことがあります。
確か、バルセロナの体育館にも行きましたね。
外から見るだけでしたが。
なので、懐かしい想いでこの本のページをめくりました。
著者である平松さんには、「光の教会 安藤忠雄の現場」という
著作があり、その作品に深く感銘を受けたので、今回も読むことに
しました。ちなみに、「光の教会」も非常におすすめです。
今回もまた裏切られることはなかったですね。

僕は、以前、磯崎新のドキュメントを見ていて、
東京大学での磯崎新の師であった丹下健三が、
「私は磯崎に何も教えていないし、
彼もそう思っているだろう。」という趣旨の発言を
言っていたのを覚えています。
あの時は、丹下健三は磯崎新を盛り立てる意味で
言っているのかと思いましたが、この本を読んで
あの言葉は、真実だったんだなと思いました。

この本に関しては、事実を知る立場から、何しろ、磯崎新は
生きているし、当事者の多く存命しているので、批判がなされている。
ただ丹下健三は亡くなっていますが。
でも、読み物としては。第1級のエンターテインメントであり、
「何か」をつくりだす立場にある人は、指針になるでしょう。

以下は順不同です。
ダニエル・クーパー「国家の崩壊」日本経済新聞社
メアリアン・ウルフ「プルーストとイカ」インターシフト
ビル・ビュフォード「厨房の奇人たち 熱血イタリアン修行記」白水社

クーパーは、イギリスの外交官であり、欧州の碩学。
基本的に政治史・政治思想に分類される本ですが、
この先を見通すうえで、投資にも役立ちます。
少なくとも、いま本屋に溢れている金融崩壊論本より役立ちます。
時には、こういう気品のある文章を読むことも必要です。
ちなみに、僕がクーパーに興味を持ったのは、
クーパーがピアニスト内田光子の夫であるといことでした。

プルーストとイカ 文学の本ではありません。
文章を読むことによって、如何に脳が発達してきたかを
解明した本です。そして、子どもにとって本を読むことが
如何に大切か書いています。
小さな子どもを持つ身としては、とても参考になります。

ビュフォードはジャーナリスト。
ニューヨークの著名イタリアンシェフに、実際に弟子入りし
イタリアンレストランの内幕を描いている。
シェフ マリオ・バタリが、シェフとして完成するまでを活写する。
僕は料理エッセイが大好きなので、とても楽しく読めた。
冬の休みにはおすすめの本です。

それでは、良い年をお迎えください。
事故など会われぬように、外出を控えるのが懸命です。

2008/12/31