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Cafe MIMIK(MIMIK)

第51回 師走のdeep大阪を歩く(1)

僕は、冬になると、deep大阪を歩くことにしています。
僕が、deepな大阪と呼んでいる地域は、
古い大阪、庶民の大阪の残映が残っている地域です。
特に、大阪市の南部の西成界隈や今宮、鶴橋がdeepな地域です。
大阪には本当に古い日本が残っていると思います。
昔、東京の古い町もよく歩きましたが、良い意味でも
悪い意味でも、開発されずに残されている地域は、大阪の
方が圧倒的です。

僕の冬の旅は、南海電車の荻野茶屋駅から始まります。
駅を降りると、荻野茶屋商店街があります。
いつもタイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。
この辺りは、東京では山谷、横浜では寿町と同じ、
日雇い労働者の町です。
俗に「釜が崎」とか「あいりん地区」と呼ばれています。
なので、この駅には普通の人は降りません。

日雇い労働者の町のある西成区は阿倍野区と接しています。
阿倍野は大阪市屈指の高級住宅街です。
この辺が大阪のおもしろいところですね。
世田谷と山谷は遠く離れているのですが。

毎年、平日に釜が崎を歩くのですが、今年は、例年に増して
人を多く見かけます。ということは、仕事がないということですね。
また、僕と同じ三十代の人も良く見かけます。

迷路のような商店街と路地を抜け、cafeで一息。
何故か、周辺には、値段の安いまとまな珈琲を出す店が多いのですね。

僕は、いつも毎冬釜が崎に来て、何故、僕が、こうしていま一応、
職を得て、妻子に恵まれ、例えば、日雇い労働者やホームレスに
ならなくて済んでいるのか考えます。
僕も、ほんの少し方向を間違えれば、フリーターに終始していたかも
しれません。
フリーターに成らなくて良かったと思っているのではなく、
運命の違いを、考えているのです。

2008/12/23