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Cafe MIMIK(MIMIK)

第16回 ある老人の死

数ヶ月前、ある老人に会いました。
私は、それ以前にも老人に会ったことがありました。
老人は、私に老人がガンであることを告げ、
もう体力がないので手術ができない、
そんなに長くないだろうと言いました。
手術し病巣を取っても、体力がつきて死んでしまう
そんな話をしました。

最近の日本経済の現状を見るにつけ、老人の
ことを思い出しました。
最近の日本経済に関しては、あの楽天主義者
邱先生も悲観的です。
邱先生でさへ、悲観的なのだから、他の識者は
もっと悲観的ですね。
私は、地方政府に勤めているので、
中央・地方政府の目にあまる惨状はよくわかります。
実は、これに対して処方箋が多く出されています。
その多くは、病巣を荒手術により取り除く方法に
似ています。

HIQで連載されている関根進さんが、
度々、指摘されていますが、ガン治療に
西洋医学的な切る手術や過度な薬物療法はだめで、
東洋医学的なマクロビオテックや代替医療が望ましい
と言っています。
西洋医学的治療の難点は、病巣は取り除けるが
体力が再起不能なまで落ちてしまうことや
過度な副作用があることあげられます。

政府の行政・財政改革を西洋医学的な荒治療で
やると、体力のない日本はどうなってしまうのでしょうか。
案外、日本の政治家にはこのことに気づいている
人が多くいると思います。
おそらく、本当に日本は没落してしまうかもしれません。
しかし、東洋医学的な代替医療もないのが現状なのです。

その後、老人とは会うことなく、数ヶ月後、
老人は逝ってしまいました。
手術をすれば死期をはやめ、手術をしなくとも
やがて死んでいく老人。
私は、日本経済に、この老人の影を見たような
思いに捕らわれました。

2008/02/27