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30代からの中国留学(松尾勝)

第5回 将来に不安を感じていませんでした。

自分が寝食忘れて開発の仕事にに没頭した商品が
実際に形になり、TVのCMや新聞広告で
大々的に宣伝され、周囲で話題になると
やはり嬉しいものです。

何かの本で

『大企業が行う大々的なイメージ広告は
 商品を売るのが目的でなく、そこで働く
 社員と家族のプライドを刺激し
 彼らの友人知人に対して、ささやかな
 自慢をするための
 福利厚生的な意味合いがある』

という解説を読んだ記憶があるのですが
私自身も実際に自分の勤務する会社の
CMが話題になるという状況を体験して
「確かにそういう一面もあるなぁ」と実感しました。

日本で誰もが知っている製品・サービスの
開発に深く関わっているという事が
ただただ単純に嬉しくて、
仕事について人に聞かれれば、
まるで小さな子供のように自慢をしていました。

そうして、初めて自分の関わった製品を出した後も
次々に出てくる新しい開発テーマに対して
上司や先輩に教えられながら仕事を
していく時期が2〜3年続きました。

この間には、新たに後輩ができて、一緒に仕事を
するようになったり
時には急な調査の為に予定の休みを返上して
全国各地に出張したりと
相変わらず、自分のプライベートの時間は
あまり無かったのですが、
楽しく充実した生活を送っているなぁと
自分では考えていました。

この時期には 今後の人生や将来についても、
あまり深く考えることはありませんでした。

また、多少は考える事があったとしても
私自身は、潰れる心配の少ない会社で
ある程度の規模の仕事をしている事から
「まぁ、将来はその時期が来れば何とかなるだろう」
という程度でした。

ひょっとしたら20代前半で
潰れる心配ない会社や役所に勤めている人は
誰でもそうなのかも知れませんが

目の前の仕事で忙しくしていると
今後の人生は今の状態が続いけば良いと思って
あまり深く考えないという人が
ほとんどではないのかと思います。

そういう意味では私も
将来について『深く考えない人』の
ひとりでした。

2005/08/27