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融通無碍(久遠善行)

第3回 内観にならない

こうして内観修行は始まりました。
初めの1歩は
「母」に対する「0歳~小学校入学以前」の時代
「してもらったこと」
「して返したこと」
「迷惑を掛けたこと」
を思い出します。

一時間半、畳半畳に籠って目を瞑り
ほんとに一生懸命思い出す作業を行いました。

初の面接では、「してもらったこととして
『母は私が保育園に行っていた頃、保育園バスの送迎場所まで私を連れて行って下さいました。』
して返したこと、迷惑を掛けたことは思い出せません」
と、答えていました。

一時間半頑張って、たった1個です。
いざやってみると、上手く思い出ません。
「怪我して迷惑を掛けたのは・・・
 あれは小学校入学以前だったはず・・・
 いやいや、入学後だったかな?
 ちがうな、もっと上、小学校高学年だった??
と時代の検証もあやふやであり、
妄想なのか、
これこれこういう出来事があったような気がする・・・
いやいやそんな出来事は、ありません。
何これ?幻想?おーい、自分寝てんのか?起きてる?
夢でも見てるのではないか・・
幻想なのか、あんたいったい誰みたいな人も出てくるし・・(笑)
一体、こんな状態で8日間、本当に大丈夫だろうか
と不安がよぎりました。

唯一、思い出せた「送り迎え」の部分も
自分には弟が居り、当時の母は同じ保育園に通う弟の手を引いて
送り迎え場所まで行っていました。
年上の私は「兄なんだから」という理由で放置・・
私は弟より愛されていないのだ・・という憎しみというか、不満部分を
引き金として思い出したものでした。

私は先生に2つ質問しました。
「妄想だか、幻想だか、わけわかんない事項が出てきて内観になりません。
こんな状態でよいのでしょうか?」
「思い出せた事項が不平不満、満たされなかった想いをキーとしているのだが
よいのでしょうか?」
最初の質問には
「大抵の方は、初日、二日目、三日目くらいまでは、も~う嫌ってほど妄想・幻想が出てきます。
 気にしないで良いです。」
2つ目の質問には
「不平不満をキーとしてということですが、最初はそれで構いません。
 不平不満が高まってしまってもそれを報告する必要はありません。」
と回答くださいました。
さらに一言
「質問があったらその都度お答します。何でもお尋ねください」とのこと。
その言葉に安心を感じたのか、不安は霧消していきました。

2009/09/14