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道連れは無敵の相棒(湖津園立治)

第27回 中国よ!ちゅうごくよ!

私の中国との関わりは、私が中国株を購入したのが始まりであるから
今から4年ほど前に遡る
第一次の中国株ブームが一段落して、香港H株に注目が集まっていた頃だ
私は友人(先の回に登場した化学の研究者、当時は東工大の助手)に
中国経済の将来性を熱く語り、資産運用を勧めたが、奴はとんと聞く耳を持たない
彼は中国という国を全く信用していなかったのだ
学会の発表でいろいろな国を回り、様々な国の留学生の面倒を見ていた彼は
私より遥かに国際感覚が豊かだったが
それにも増して歴史についても詳しかった

彼曰く、中国はチベットを併合してもの凄い数の人々を虐殺している
日本はODA(政府開発援助)で莫大な額を中国に投じているのに
感謝されるどころか学校では平然と反日教育がおこなわれている
中国政府は危険だから信用してはいかんと言うのだ
私は、歴史上の問題は過去のことであり、
政府の問題は個人ではどうすることもできない
だから、リスクを考慮した上で、
少しでもいい条件で投資をすればいいのだと主張したが
二人の議論は平行線のままだったことを今でもよく覚えている
当時は、株価の動きにしか関心の無かった私だが
あれから少しは私も大人になった

1949年、中国はチベットに軍事介入し、200万人ほど虐殺したらしい
チベット仏教は、布教活動の禁止、寺院の破壊などで弾圧された
僧侶も尼僧も筆舌に尽くしがたいほど拷問と辱めを受け
信仰と命を捨てさせられたという
ダライ・ラマ14世は国外に脱出、亡命政府を樹立しているのは、周知の通りだ

カンボジアでも内戦時代に
ポルポト派による大量虐殺があったのはよく知られているが
ポルポト派を陰で操っていたのが中国政府だったことが明らかになってきた
アドバイザーと称して5000人ほどの中国軍人が策動していたというのだ
これにより文化大革命と同じように知識人をはじめとして
無実の人達が200万人ほど殺されている
なんと罪深いことをしてくれたものか

チベット弾圧を指揮した張本人が今、中央政界のトップにいて
日本の首相の靖国参拝を声高に非難し、ミサイルを発射した国を擁護し、
カンボジアの首相と会談した際には
過去を水に流して未来に目を向けようなどと言ってのける
残念ながらこれが現在の中国政界の実相だ

昨今、尖閣諸島で中国船舶による領海侵犯事件が多発している
尖閣諸島は、沖縄の返還に伴って復帰した歴とした日本の領土であるが
なんと中国の教科書には尖閣諸島のみならず
沖縄までも自国領と記載しているらしい(もちろん台湾も)
その他、南シナ海でも勝手に地下資源や水産資源の調査をして
周辺国との間に摩擦を起している

おっと、あまり書くと検閲に引っかかるといけないのでこのぐらいにしておこう
読者の皆さんは、「ウキペディア(Wikipedia)」というのをご存知だろうか
インターネットの検索をよく使う人ならきっと活用されているに違いない
ネット上に百科事典を構築しようとする今注目のサイトだが
中国では全く見ることができない
また、ニュースのサイトも時々見られなくなることがある
そう、中国ではインターネットが検閲されているのである

報道規制もされ、言論の自由も保障されない中国は
真に問題の多い国と言わざる得ない
中でも一番の問題は、世界最大の覇権国家を目指していると危惧される点だ
中国の軍事力はここ数年の間に急速に伸びていて
核兵器も増え続けているということを忘れてはならないだろう
中国政府の要人達に見られるこの「尊大な中華思想」は
中国国民を間違った方向に導きかねない
今後の国際社会における各国の外交努力に期待したいところである

しかし、私は中国の未来を悲観しているわけではない、希望はある
若い人達が確実に未来をよい方向に変えていってくれると信じているからだ
例えば、日本のアニメやゲームは今でも根強い人気がある
TVドラマも韓流に押され気味ではあるものの
最近では「1リットルの涙」などは大変な人気だったようだ
彼らは日本人のライフスタイルに親しみを感じ
主人公の気持ちに共感しているのである
日本のいいところも悪いところもよく知っているわけだ
もちろんドラマの世界は現実とはちょっと違うものなのだろうが

聞くところによると、日本で放映されたドラマは
翌週にはもう中国語字幕付きに編集されたファイルが
インターネットでダウンロードできるようになっているそうだ
増殖し続けるインターネットの世界を一政府が検閲し続けることなどできない
いずれ政府の悪行も白日の下にさらされるようになるというわけだ
それに報道されていないから知らないだけで
本当は我々が考えているより中国の国内問題は深刻なのかも知れない
もしそうだとしたら、中国の分裂化は案外早く実現するのではないか
あれだけ巨大な国が中央集権体制をいつまでも維持し続けるとは思えないからだ

私の受け持つクラスの生徒さんに敬虔な仏教の信者さんがいる
彼女の所属する宗派では、弘法大使の教えを勉強していて
先日、日本に行き高野山で研修を受けてきたそうだ
文化大革命では、仏教の尊い教えが書かれた本も相当焼き捨てられたようで
現在、中国仏教界では、「日本に学べ!」という気運が高まっているらしい
元々は、仏教と儒教の教えに基づいた4000年という歴史ある国であるだけに
再び信仰に厚く礼節を重んじる心を取り戻してくれたなら
これほど素晴らしいことはないだろう

金茂ビル

そびえ立つ金茂ビル


前回の日本語クイズの正解は
1、2、3ともaが正解です
動詞が自動詞の時は“に”を使い、他動詞の時は“を”を使います
しかし、実際には自動詞と他動詞の両方の意味を備えている動詞も多く
このような説明をしてもあまり学習の助けにはなりません
用例とともに覚えてもらうしかないようです

 例)質問に答えます。(自)
   ありのままを答えます。(他)
   車に注意しましょう。(自)
   マナーの悪い人を注意しましょう。(他)

日本語クイズ第4弾


 a;電車で鞄を忘れてしまいました。
 b:電車に鞄を忘れてしまいました。

 a:どこかで財布をなくしてしまいました。
 b:どこかに財布をなくしてしまいました。

それぞれの問題のaとbのどちらが正しいですか

2006/08/12