戸田ゼミ通信アーカイブ トップページ >> 道連れは無敵の相棒(湖津園立治)

道連れは無敵の相棒(湖津園立治)

第18回 蒼い時 −4−

中国では旧暦の正月を祝うのが習慣になっているので
年末年始は普段とあまり変わりがないようである
クリスマスの飾り付けも当分そのままなので、実に変な気分だ
正月気分を味わうのは春節までの一ヶ月ほど
お預けというわけだ



公務員というのはだいたい3年ないし4年で転勤することになっている
出入り業者と癒着して不祥事を起こすことの無いように
また、職員間の不公平感を無くすように
毎年人事異動が行われている
私も入庁して3年、発電所勤務から浄水場勤務になった

職場の雰囲気がよくないのはすぐに分かった
どいつもこいつも口を開けば人の陰口ばかり
大の男が子供のような喧嘩をする、実に大人気無い...

公務員というのは身分が保障されているから
基本的にリストラが無いし、毎年確実に給料も上がる
余程の失態がなければクビになる心配もない
だが、安心して働けるならどこも平和な職場かと思ったら大間違いである
簡単にはクビにできないということは
本来、クビになってもおかしくないような人が
クビにならずに在籍しているということでもある
そう、大きく社会性の欠如した職員が一部に見受けられるのだ
残念だがこれが実態だ
給料や将来の心配がない代わりに人間関係が頭痛の種
世の中は実に公平にできている

しかし、極端に雰囲気の悪い職場にはやはり原因があった

浄水場の水運用課では浄水された水を配水池に貯水して
各家庭や工場などへ安定的に供給するという仕事をしている
川から水を取る権利のことを水利権というが
この水利権には制限があって
需要に合わせてたくさん取るということができない
従って、需要の少ない時間帯に配水池に水を貯める必要がでてくる
配水池に貯められる量にも限りがあるから
正しく需要を予測して運用の計画を立てなければならない
ところが、予測は最終的には職員の経験や勘といったもので決められる
人間のすることなので、当然みんな考え方が違う
よく考えて判断する人もいれば、何も考えずに適当にやる人もいて
これが軋轢を生んで、人間関係を悪くする原因になっていた

いがみ合っているだけでは、なんの解決にもならない
私は、誰もが納得する客観的な判断材料がどうしても必要だと考えて
データ集めや資料の作成などをしていった
この行動が、周囲の人間には面白くなかったらしい
やれ生意気だの、やれ本来の仕事をしないで不真面目だのと
私の評判はすこぶる悪くなっていった
みんなのために良かれと思って、
通常の業務の合間を縫って時間のやり繰りをしているというのに
悪者にされたのではかなわない
さて、どうしたものか.....

巨大サンタ

巨大サンタ

2005/12/31