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道連れは無敵の相棒(湖津園立治)

第13回 バトルを制するもの

ここ上海でもやはり他国の大都会と同じように車の数が多い
朝晩の渋滞もひどい、バスで校舎を移動するとき遅刻しそうになる
うちの学校は交通費を支給してくれないし
地下鉄の料金も値上げされたし
本当はもっとバスを利用したいのだが
渋滞にはまると時間がかかりすぎるので困ったものだ

よその国と違うところは
古い車をあまり見かけないことだろうか
最近になって急に増えたということだろう
政府は新しいナンバープレートの発行を抑えて車輌を減らそうとしているものの
蘇州や浙江ナンバーを購入して上海市内を走るドライバーも多く
増加の歯止めには至っていないそうだ

車といったらどれもこれも4ドアセダンばかり
軽自動車が少しあるだけで
ミニバンやRV車など、どこにも見あたらない
それにしても、スポーツカーに出会わないのが不思議だった
最近になって、やっとチューンされた車を
見かけることができたのだが

日本で大人気のコミック「頭文字D」は
中国でもアニメが放映されて話題になり
香港で製作された映画も大ヒットした
スポーツカーに乗る若者のカーライフは
中国の若者達にさぞや新鮮に映ったに違いない

私はかつて、FX-GTVという車に乗っていた
それは「頭文字D」の主人公の乗る車と同じエンジンの車だ
4A-GEというエンジンは伝説の名機と呼ばれ
高出力ではないが、よく回るスポーツエンジンなので街乗りでも楽しかった
別に走り屋だったわけではないが、速い車の魅力はよく分かる
今ではもうやらないが、ゲーム機を持っていた頃はレースゲームにはまっていたから
当時のスポーツカーのことはよく知っている

同じクラスの車同士が競う場合は
どれだけマシンの性能を引き出すかが勝負の分かれ目だ
第一コーナー手前のブレーキポイントで
レッドゾーンぎりぎりに回るようギヤ比を調節したり
コーナーで車体がばたつかないよう、目一杯サスを固めたり
走り込んで走り込んでセッティングを仕上げていく
そして、安い車でレースに出場し
高価な車を負かした時の快感は忘れられない
レーシングカーで高速サーキットを駆け抜け
ラリーカーで悪路を走破し
耐久レースではタイヤの摩耗に耐えながら走り続けた
一体どれだけの時間を費やしたことだろうか

若者達が無理をしてマイカーを買うのは
車があると便利だからじゃない
運転することが楽しいからなのだ
それだけスピードとコントロールの世界は
世界中の男達を魅了して止まない

中国のマイカーブームはまだ始まったばかりだが
やがてモータースポーツのブームも来るに違いない
この巨大な市場を制覇するのは、果たしてどのメーカーなのか
世の車好き達に賞賛される名車が中国で誕生するのか
これからが楽しみだ

車.JPG

浦東で見かけたチューンアップカー

2005/11/13