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丘の上から(小日向次郎)

第52回 バルカン半島トマトの話

料理人でもなく料理研究家でもない自分が
トマトについて書くのは挑戦的なこと。

なにせ現物がここにないし、
味や香りもこのコラムを読んだからと言って伝えられるものでもないし。。

でもなんとなく書きたいのです、トマトについて。

2000年の夏にブルガリアに行きました。

以前書いたウクライナのセミナーで知り合った人たちが、
ブルガリアのルセという街に住んでいたので、
大学院卒業記念旅行の一つとして行きました。

ブルガリアのソフィアには、
ロンドンよりルフトハンザドイツ航空で入りました。
東欧圏では比較的早く日本人には
入国ビザなしで行ける国のひとつだったのを覚えています。

とにかく暑かった。ヨーグルトがおいしかった。

日本人や欧米人は、「はい」で首を縦にふりますが、
ブルガリア人は「はい」と言う時に首を横に振ると
イギリス人より聞きました。そんな風に見えました。

ソフィアからルセまでは、バスで半日弱の行程です。
ルセは地方の中核都市。

ルセで知り合ったお宅の家にお世話になりました。
知り合いになった人のお父さんが空軍を退役された人で
「ロシア語がわかればお互い話がたくさんできるのに」と
お互いの顔を見ながら笑っていました。

当時ロシア語を少々、今は全部忘れました。

そのお父さん、その時毎日トマト畑を郊外で耕していました。
どうやら、郊外に皆さんこのような園芸場を持っているのでしょう、
xx家族分のトマトを抱えているではありませんか。

「どうするのこんなに」「クマじゃないけどね、このトマトを色々と加工して、冬を越すのさ」
その時出されたその収穫したばかりのトマトですが、
「是非皆さんご賞味を」と感じました。

決して辛いとかそういうことではなくて、
口の中が燃えるような濃厚さ・果汁200パーセント。

「これ、いつも我々が食べているのと同じトマト?」

バルカン半島にあるブルガリア国ルセの近郊で作られている
トマトの話が絶品であることをイギリスや日本聞いたことはありませんが、
人が言う特産品よりもささいなことのほうをよく覚えているものです。

2011/01/07