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丘の上から(小日向次郎)

第26回 それはそれは開拓地

5月連休の半分を山梨県の清里で過ごしました。

清里高原というと、軽井沢と比較されることもある
別荘地や避暑地のイメージが強く、ファンシーな
店や飲食店があることで人気がある場所とでも
いいましょうか。

秩父山地、南アルプス、八ヶ岳を周囲に見渡すことの
できるこの地は、古くから林業の拠点として栄えました。

また、ポールラッシュというアメリカ人の宣教師が
この地を開拓しキリスト教の理念に基づいた教育に従って、
牧場を戦後に運営し始めます。

長野県との県境が近く、越えれば野辺山、小海、そして
佐久平へ出ることができます。軽井沢へはゆっくり車で
走って2時間弱です。

列車の場合は中央本線小淵沢での乗換が便利です。

父が20年来の構想を現実に移したのは最近のこと、
とある既存家屋を手に入れて改築しました。

どうしても清里でなくてはならないということではなく、
条件がたまたま揃っていた物件を見つけた場所が清里でした。

この行動は周囲に対しては突然なものでしたが、
彼自身の中にはとても用意周到にしてぶれない
青写真がありました。

堅い青写真がある以上、あとは邁進するだけ。
造園関係に資源を集中し、生活雑貨は必要なもののみを用意する。

定年後の田舎暮らしを希望している人が増えているようです。
専門誌やインターネットを開くと、実際に情報が多くあり、
決して実現不可能なことではないと気付きます。

しかし、物件を手に入れて家を改築しただけでは不十分です。
私が最初にこの場所を見た時、「これは開拓だ」と思いました。
優雅な別荘ライフとはどうも違うようです。

ご近所、造園業、ガソリンスタンドなどに携わる方と連携しないと
どんな立派な設備を伴った「家」を運営することはできません。

どの時代のどの国の開拓者にも敬意を表したいと思います。

2010/06/18