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丘の上から(小日向次郎)

第12回 タイトルをつけようがなかった夕方

先々週のとある夕方のことです。

勤務先事務所ビル前に持ち主不明の70リットルゴミ袋
が3つありました。事務員に聞くと誰が出したかわから
ないと言います。

あきらかに引越時の不用品処分でした。

事務所では自治体指定有料のごみシールを貼る必要があるので、
シールを貼ってないごみ袋があるとその場所にあるゴミを
回収してくれません。

誰かが置いて行ったゴミに隠れていたために、シールを貼って
あった事務所のゴミも回収してくれませんでした。

事務員は回収していないと判断し、会社でシールを貼って
出したゴミのみを建物内に戻したようでした。「?」

終業間近になり、誰も何も解決する様子がなく、
相談や区役所に連絡をするなどの処置する動きもありません。

当社事務所ビルの景観や防災上のことが多少気になりました。

どうするつもりだ?と事務員に聞くと、放っておきたいようで、
「前の引越業者さんじゃないですか?話してきてくださいよ」
と軽く言われました。

確かに道路をはさんで対面のビルで引越し作業をしていました。

普通に考えれば、企業の引越を担当する業者や運送業者が
どさくさにまぎれて捨てていくとは思えません。

持ち主不明のゴミ袋が破れて書類が出てきました。
持ち主であろう名前と住所がわかりました。

事務所近くにある高級マンションです。

住所のポストに行くと、該当する住人は引越した後でポストは
テープで貼ってありました。

出てきた書類の中にその持ち主の履歴書が複数ありました。
見ると履歴書毎に高等学校以降の学歴と職歴が違っていました。
面接先により内容を合わせていたようです。

この日はまいりました。

ゴミへの無関心とそれを取り巻く行動、これだけのことです。
が、心理、経済、環境、経理、総務、人事、コミュニケーション、
社会、など専門を要さなくても、討論すべき話題が多いことに気付いた
世の中の行間だと思いました。

2010/03/12