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丘の上から(小日向次郎)

第9回 ベトナムへ②

ハノイの重要性を説明する必要はないかもしれません。

政府による大型案件の計画やベトナム国内の主要な現場
でたとえ南のはて現場であっても大事な決定をするのは
ハノイです。

また、南に存在する政府系公社には、ハノイや北ベトナムから
派遣された人が管理しています。

余談ですが、仕事で打合せをすると、シャツにサンダル姿の
オジサンが偉そうにしている。聞けば、政府やら共産党の
部長やら局長クラスの方。驚いたことも多かったですが、今は
きっと皆さん背広を着ていることでしょう。

ハノイの街並みは、時が経つにつれて人口が増加し、
投資熱も加わり大型の住宅や事務所ビルが郊外へ
展開されていきます。江戸っ子ならぬハノイっ子は
本当に少数(旧市街地付近出身者)です。

今でこそタクシーが街中沢山走っています。
手をあげると3台くらい寄ってきたこともありました。

再び余談:よく絵や映画で見るシクロ。80年代まで交通機関の
一端を担ってきましたが、「xxxに行きたい」と行き先を告げると
「遠すぎる」と断られた人がいたそうです。自転車ですからねぇ。

ベトナム人は器用で勤勉でまじめなイメージは、当たっている
と思います。特に機械モノを分解して修理したり、計算したり、
外国の良いものを輸入し応用するなど、人材豊かな国です。

日本人にうれしいのは、ハノイを中心とした北部ベトナムの人は
比較的約束された時間を守って集合します。(案件の進捗は別)

日本式の交通システム(信号)、大型設備、最近のニュースでは
信号機や高速鉄道システムまで。

色々と関係が深くなり、お世話になる機会が増えることは
間違いありません。

観光、天然資源産業、製造業を中心に、国全体が立身出世の
勢いある志を持っているので、今後が本当に楽しみです。

ただ気になる点もいくつかあります。

一つには、都市部での健康面とインフラ面についてです。

例として、物が豊富に外国から輸入されたため、
外国で生産されたジャンク菓子や脂肪分の多い西洋の食事を
多用しています。また、都市部では動く量が少なくなり(?)
健康を害する人や体を壊している人が目立っていると伺いました。

余談ですが:日本では缶ジュースの安売りはしているが、
生ジューススタンドで飲むジュースは高いと思われます。

ベトナムでは人件費と原価が安いためだろうか、
果物から直接作ったジュースよりもコーラのほうが高いです。
パッケージなどの材料費は逆に高いと考えるべきかもしれません。

電気は需要が多すぎて供給が追いつかないようですし、下水道
都市交通、道路の凸凹など、経済発展にインフラが追い付いて
いません。

大型案件は確かに華やかに見えますが、インフラ面や社会面の
充実も今後課題となり、日本企業の活躍の場となるかもしれません。

もうひとつには、具体的に理解できないベトナム文化です。
ベトナムでの業務中現地の方に年中聞かされた文言が、
「ベトナムの事情は本当に複雑です」というものでした。

WTOに加盟し国際社会の仲間入りを果たしたとは言え、私たちの
定規で測れないものがあるので、ビジネス上の常識回路を
少々変更して日本企業や投資家は対応する必要があります。

日本や欧米社会に慣れた人がアジア大陸でお金を使う際には、
現地の人と交じって過ごす時間が多くあると良いと思います。

2010/02/19