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中国名言と株式紀行(小林 章)

第2回 中国・天津にて/中国株日記 はじめに

【NO.1】 はじめに

私が中国に関わるようになったのは、1989年頃からです。

当時、妻の開業していた餃子専門店に、包装印刷関係の会社を経営していらしたN社長さんが、お客さんとして出入りされていて、個人的にも懇意にさせて頂いていました。

そのN社長さんが、上海で合弁工場を準備しているとの話があり、時間があったら一緒に中国に行ってみないかとのお誘いが、その2年前頃にあり、上海浦東にあった工場を始め、上海市内をひとまわりすることができました。N社長にはもう一度、上海への同行をしてまわり、その時N社長から和田一夫さんの本を渡されて、興奮を持って読んだ記憶があります。

その後、もう少し中国の事情が知りたくて、上海、北京、天津と2度にわたって訪問を重ねて、私自身の起業と中国・天津での食品製造の事業展開を決断することにしました。

私の中国・天津での合弁事業が立ち上がり、日本への輸出も順調に進み、一息ついた頃に、中国株式市場の存在に気づき、株購入の方法に関心を持つに至りました。

私は、それ以前のサラリーマン時代に多少日本株を買ってみたことがあった程度で、著名な邱永漢先生のよく仰る「お金儲けのチャンスは経済成長が軌道に乗り始めた発展途上国のほうが多い」といった言葉を思い出して、何とかA株購入のチャンスはないかとぼんやり考えるようになりました。

たまたま、毎月通うようになった中国で、そういえば株の方はどうなっているのだろうか、と思いだし、友人に相談し、その友人の助けがあって、証券会社の株取引口座を手にすることができました。

1995年以来、上海と深センA株、及びB株への投資を開始致しました。

丁度、上海株総合指数が史上最低の底を這っている時期でした。上海汽車、東風汽車、一汽キョウ車など自動車株を中心に、毎月中国出張の度に、日本円で10万円分ずつ人民元に両替して、購入していきました。

上海汽車などは、確か買い始めた当初は人民元で1株10元以上していましたが、1、2年後には、4元程度の信じられない格安値で購入できました。本当にバーゲンセールのような株価で、後から思えば、私のお小遣いをやり繰りして、もっと購入に充てていればよかったなあ、と後悔しました。

私のまわりの中国人の友人は、みな株式投資から逃げ出していました。心配して、やめとけ、とアドバイスする友人も1人や2人ではありませんでしたが、かまわず下値を買い続けた結果、平均購入単価は下がる一方で、張裕葡萄酒などは株数は少ないですが、平均単価7元台、民生銀行や青島海尓、新希望集団株は1元台で現在でも保有しております。
それが、さらに数年後には上海株価総合指数も6000ポイントを越える暴騰劇を目の当たりにしました。

その頃、平均単価4元程度で持っていた上海汽車の株は28元を超えていたと思います。

単純に計算すれば約7倍です。

出張の度に毎月10万円で、約1-2年間、出張中時間がある度に逗留先のホテルの近くの証券窓口で買い続けました。

その後、それらの株は、現地の事業資金に手当てするために約60万元以上を処分して、あとはそのまま相当数を残しました。

中国天津出張の度に、暇ができると思いだし、期末の配当金と多少の私のお小遣いを原資に、銘柄の入れ替えをおこなう程度で、現存中です。

 

当初、損してもいいつもりで、毎月10万円のお小遣いで始めた中国株投資でしたが、思わぬ戦果を得て、俄然面白くなって、現在まで継続しています。

ただ、これもたまたま購入のタイミングが良かったのと、時間と多少の投資金があったという程度での出来事でした。でも、それがまあ「すてきなタイミング」でもあったのでしょう。

 

さて、最近は、中国でも中国株を組み込んだ「基金」(投資ファンド)に人気が出て、庶民の興味を引きようになっています。中国でも、人を引きつける力のあることを「吸引力」があると言いますが、投資ファンドには吸引力があり、人気に火がつきそうです。

その理由は、どこの銀行の窓口でも取り扱われており、日々の配当額が掲示され、利率の高さが預金と比べて断然有利なものが、多いからです。更に、1万元程度からと比較的少額から購入でき、解約の場合も手続きして3日程度で現金化できるようです。

また庶民は、この「基金」が株式で運用されていることをあまり理解していないようで、確定利息型の定期預金の延長線上で捉えているフシがあります。 

しかし、私は個別の銘柄への投資の方が、当たれば間違いなくリターンが大きいし、失敗しても自身の学習になるし、身に付く投資法が得られる気がします。 

個人でリスクをなるべく負わず、他人任せでリスクをヘッジしてリターンを期待している投資ファンドには平均株価の上昇以上の期待はまず望めないと知るべきでしょう。いくら配当利回り実績を比べて選択したつもりでも、悪く言えば所詮その国の株式市場の平均株価を買うようなモノだからです。 

中国株にはまだまだ上昇余地はありますし、優良上場企業は業界での世界シェアでトップクラスに躍り出て、今後長きにわたって成長を続け資産価値を大きく伸ばしていけるだろう企業がゴロゴロしています。またそういう株を探し出す楽しみもあります。 

同時株安から未だひとり回復できず、成熟から模索期へと向かいつつある日本の株式市場では、今後の有望企業を探す方が重箱の隅をつつく様に難しくなる一方です。 

企業活動は国を超えてグローバル化していますし、マネーはそれ以上に先を超えて需要先や投資先を求めて彷徨っています。 

私たちの株への投資資金は、日々の身近なハードワークによってもたらされますが、その資金の運用はグローバルに有利な運用先を選択してなるべく確実な機会と儲けを約束された場で実行すべきです。 

株への投資は、国家や投資情報を評価して投資するのではなく、単純に、すごく単純に、有望な企業に対しての投資である、からです。 

私の少ない経験や知人関係からしても、投資で堅実に資産を増やし、儲け続けている人は、あまりその多くを語りたがりません。

多くを語りたがる人は、一度や二度の儲けに一喜一憂している人か、自分の見識の無さを顧みず、その失敗を他人のセイにしたがる傾向の人たちの様に思えます。 

そうした意味で、他人の経験に裏打ちされた、真実のある見識に耳を傾け、意見を聞くことは大変に役に立つことだと感じています。

 

私も、ひょんなことから中国株に顔を突っ込む羽目になりましたが、後悔どころか、思わぬ漁夫の利にありつくことができたがために、すっかり中国株の魔力にはまり、中国株ウオッチャーを自認するまでになってしまいました。

だいぶ堅い話に、のっけからなってしまい、申し訳ありません。

何か私の話が、同好の士のお役に立つ情報であればと、願ってやみません。欲と共に二人連れの旅にもなりますが、ご同行いただける方がおられれば、なお心強く思います。よろしくお願いします。                       2007/05/26

 

注)この記事は、過去のものからの再録の形で転載させていただいております。時事的に古い話題が取り上げられていますが、内容的には時間の風雪にも耐えられるものと思い、取り上げさせていただいております。

2012/11/03