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酒の道、食の道(金城拓)

第17回 帯に短し襷に流し③

深夜ではないのですが、現場のそばに
お昼に営業をしていない蕎麦屋さんがあります。

普通、手打ちの蕎麦屋さんといえば、
夜早くしまるとか、夕方4時に閉まって
夜は営業しないとか、週に3日休むとか。

そういうお蕎麦屋さんをいくつも見てきているので、
お昼やってない手打ち蕎麦屋というのはちょっと新鮮でした。
おそらく夜のみ開ける蕎麦Barみたいな感じかな?
と思い、たまたま21時くらいに仕事を上がれた時に、
寄ってみました。

木製の家具をふんだんに使った店内は
落ち着いたバー、といった感じです。

カウンターには常連らしきお客さんが一人。
店の奥にはテーブル席があり、
良くは見えませんが、数組のお客さんがいるようです。

カウンターの奥の棚には焼酎と泡盛の古酒がずらっと並んでいます。
となると、日本酒のラインナップには余り期待が出来そうにありません。
案の定、メニューを見ると、申し訳程度にしか日本酒がありません。

食べ物のメニューを見ても、
蕎麦味噌やいたわさといった典型的な酒肴に混じって、というか、
そっちのほうが割合的に多いのですが、
豚足やゴーヤーチャンプルーなど、沖縄系の料理が並びます。

熱燗は菊正宗しかない、との事なので、
とりあえず菊正宗を注文。
食事は蕎麦味噌と、豚肉とたまねぎの炒め物と
ゴーヤーチャンプルーを頼みます。
蕎麦味噌と日本酒の相性はもちろん抜群です。
豚肉とたまねぎの炒め物と日本酒は、
合わないわけではないのですが、
次に控えるゴーヤーチャンプルーとの相性を考えて、
2杯目は泡盛の古酒を頼みました。

が、疲れているのか飲み慣れないせいか、
あっという間に酔いが回ります。

〆に蕎麦を頼もうとして、
焼きソバがあることに気づきました。
もしやと思って注文したら、
文字通り、焼き『蕎麦』が出てきました。

焼いてあっても、シッカリ腰があり、
なかなか面白い美味しさで、
この後頼んだせいろに対する期待も膨らみます。

せいろも期待通りの美味しさで、
つゆが好みの味よりやや辛めかな?
とは思うものの、十分満足できるものでした。

ただ、日本酒で蕎麦屋酒を楽しみたかったので、
私の嗜好とお店のコンセプトとに
ズレがあるのがなんとも残念なところです。
一つ一つは満足できるレベルなんですけどねぇ。

2005/11/12