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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)

第85回 短距離走

女性は真面目で頑張り屋さんが多いので、
やるべきことはやらないではいられない、
残業だろうが休日出勤だろうが、
必要があればついやってしまう。
手を抜くことが下手だともいいます。

がむしゃらに働いて20代から30代で
心身の不調に悩まされ、
ドクターストップがかかっても
仕事に一心不乱で数ヶ月〜数年を過ごし、
とうとう限界が来て、
仕事をやめざるを得なかった女性を
何人も見てきました。

『あのままの働き方では
 何年も続けられないと思った。』
『でも、あの時は手を抜くとか、
 適当にごまかすとか、もっと楽をするとか、
 そういう選択肢が自分の中になかった。
 とにかくやるしかないと思ってた。』
『辞めてみて思うけど、二度とあんな自分
 (の体)を犠牲にするような働き方はできない。』
といいます。

そうまでして仕事に取り組む
(取り組まざるを得ない状況の)
女性は短距離走、、、
ずっと走り続けることはできない。

対して、男性はそんなにがむしゃらに
働く状況の人はあまり見ない
(見えないだけ?)けれど、
そのペースでなら40年でも走り続けられるだろう
という風に見受けられます。

従来型の日本企業なら
長距離走タイプの男性的な働き方が
相応しかったのでしょう。

現在の労働環境では
女性は短距離走せざるを得ないし
育児との両立の仕組みが整っていないなど
短距離走しかできないともいえます。

これから先の未来も
男女の体の機能が違う以上、
まったく対等にはなりえないと思います。

が、
『欧米系の企業から
性別に関係なく能力に応じて登用する文化が
日本企業にも広まっていく』とか
『家事育児については「女の仕事」と決め付ける
前時代的価値観は鳴りをひそめて
「男でも女でもやって当たり前」という
前提でサポートする仕組みが整っていく』
などで徐々に変わっていくようにと
願っています。

男女雇用均等法が20年運用されてきた
今日でさえ、この状況ですから
何十年も前から男性社会で奮闘してきた
女性の先輩方はものすごく険しい道を
切り開いてきたのだなぁと、
感謝と尊敬をしてしまいます。

2005/11/16