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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)

第76回 放下(ほうげ)

いままでに自分が経験してきたことは
すべて財産です。

さまざまなことを学んで、身につけて、
だからこそ、いまの自分になったはずです。

だから、誇りを持ったり、自分の支えにしたり、
判断するときの材料にしたり、糧にしていると思います。

でもね。
過去に無頓着になれたら、いちばん
いいんだろうと思います。

過去は、
良くも悪くも自分に大きく影響を与えているけれど、
「○○は苦手」
「いままでできたことがない」
「いつも失敗するから」
「いやな思いをしたから、二度とやりたくない」と
自分に制限をかける方向で働くことも多いのです。

「○○は得意」
「以前にも成功した」
「まえにもうまくいったから」
「喜んでもらえて嬉しかった」
過去に良い結果を結んだことがこれからも
同じような結果につながるとは限りません。

時には時代の変化に対して目を曇らせることにも
つながりかねません。

現在の自分・未来の自分は、過去の自分とは別なんです。
おなじ尺度で測ろうとしてはいけません。
昔できなかったことでも、できるようになるし、
これから先の世界で、どんな能力を発揮できるか、
わかりません。
きっと、想像以上の可能性を自分達は持っています。

現在の、これからの、自分自身の可能性に
ブレーキをかけないために、
過去の経験や栄光や失敗に無頓着になれたら
一番いいなと思います。

いままでの自分を築いてきたものを
打ち消す、放り出すことは勇気が要るかもしれませんが、
すべてを放り出しても、
もっとたくさんのことを手に入れることができると
信じます。

そして、新しく手に入れたもの、経験、判断力を
また放り出して新しい世界に目を向ける。

自分が生きていくのは
過去の世界ではなくて、これからの世界だから。

2005/11/07