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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)

第67回 あなたは仕事をするな。

組織をまとめる立場、
部下を持つ立場、
マネージャーといわれる立場、
になっても、
ついつい自分で仕事を抱えてしまいませんか。

かつて上司に
繰り返し忠言されたのは
「あなたは仕事をするな。」
ということ。

「部下に頼める仕事
アルバイトさんでもこなせる仕事
人に指示してやってもらえることは、
全部人にやらせなさい。
あなたがやってはだめだ。
あなたはただ座ってればいい、
それがあなたの仕事だろう。」
としばしば諭されました。

上司の買い被りかもしれませんが
自分が座っているだけで
会社に貢献する存在と認められているのは
うれしいことでもあります。
(それだけ部下への目配りや
顧客への十分な対応を
期待されているわけですが。)

現実には、ついつい
「人に頼むほどのことはない」
「ややこしいから、説明するのが大変」
「自分でやったほうが速いから」
と仕事を抱え込むことが多く、
人に仕事を振るというのは
けっこう大変なことなんだな、
とつくづく思いました。

いざ人に仕事を依頼する段になっても
気持ちよく引き受けてもらえるよう工夫したり、
結果を正当に評価して努力を認めたり、
と、いままで仕事を指示される側では
気にした事がなかった部分にも
気を配らなければいけないということも
手痛い失敗をしながら、学んでいきました。

自分が仕事を抱えていたら
スタッフ達は困ったことがあっても
「忙しそうだから」と相談もできずに
問題を抱えたまま、それが顧客にも
影響を及ぼしてうまく行かない、
ということが、ずっと頻発していたでしょう。

一時的に、
指示を出したり、やり方を指導する手間がかかっても
他の人に仕事を振ることで、
自分自身が全体に目が届くようになり、
顧客やスタッフ達の抱える問題を
早く解決できるようになるのだ、
ということを、
あっちにぶつかり、こっちにかすり傷つくりながらも
不器用なりに学ぶことができたのは
上司の辛抱強い忠言のおかげだと思います。

まだ、学びの道の途中ですが。

2005/10/29