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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)

第57回 実力をつける法 Sさんの場合

Sさんは団塊の世代、職人さんです。
幼少のころから、家業であるその職を
継ぐことを考えていて、きっとこの先も
可能な限り、続けることでしょう。

そんなSさんに聞いた話です。
「見習いのころは、早く仕事を覚えたくて
うずうずしていた。
でも、当時は先輩が後輩に教えるなんて
とんでもなくて、
後輩は先輩達がやってることを見て盗むんだ。

自分の仕事(先輩達が仕事で使うものの下準備とか、
簡単な作業)でいっぱいいっぱいで、
先輩のやっていることを見られないと
いつまでたっても仕事を覚えられないから、
自分の仕事は、仕事が始まる前に行って、
あらかた終えてしまうんだ。

先輩達が来て仕事を始めたら
あからさまに見たら嫌がられるから
こっそり盗み見て、耳もダンボにして、
必死で吸収するんだよ。

それで、先輩達が帰った後、
夜遅くにこっそり練習したりしてね。

それでも、たまたま先輩が退職したとか
そういうことでなければ、同じ職場で
昇格は望めない。

先輩達から吸収したものを
自分で発揮したいと思ったら
そのポジションを募集している他所に
転職して納まるしかない。

そうやって、実力をつけていくものだったんだよね。」

そして、
Sさんは職人さんであり
一国一城の主であり、
生涯をその仕事で全うすることでしょう。

先輩からの指導がどうの、
上司の指示がどうの、
研修がどうの、
といっているいまの時代の
サラリーマン(自分です)との
仕事に対する姿勢の違いに
衿を正す思いがしました。

2005/10/19