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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)

第182回 神様の化身!?

私は、今でもあれは仙人か神様が
人間の姿して私の前に現れたのじゃないか?
と思うのですが、数年前の夏、
つかの間の幻のような出逢いがあったのです。

タクシーの運転手さんでした。

土曜日、長時間勤務で会社近くに宿泊。
日曜日、一日中会議+合宿研修。
そのまま月曜日の勤務が17時間くらいあり、
火曜日の午前3時すぎになって、
やっと帰宅!へとへと!くたくた!
3日ぶりの我が家へ!という車中です。

少々愚痴っぽくなっていたのは、
お目こぼしくださいm(__)m

普通の、タクシー内の雑談ですね。

運「いやぁ、お客さん、今までお仕事ですか?」
私「はい、、、いままで。ごはんも食べてない(-_-)」
運「いつもこんな遅いんですか。」
私「いつもですよ。」
運「お仕事、景気が良いんですね?」
私「景気が良いんだか悪いんだか、、、。
 やってもやっても仕事が終わらない感じです(>_<)」
運「このご時勢に、仕事がなくて困っている人もいるのに、
 お客さんのところは大したものですねぇ。」
私「いやいや、安月給で上手く使われているって感じですね。」

……こんな会話、どこにでもありそうな感じですね?

当たり障りのない仕事の愚痴(!?)を
しゃべったりしていました。

運「でも、お嬢さん、まだ若くて。
 うちにもあなたくらいの娘がいるけど。
 それだけ責任のある仕事ならお給料だって
 安くはないんでしょうに。」

こんな感じで振られたからでしょうか、わたしも
つい心が緩んで、いえ、それほどでも、いくら位ですよ
って、もらってる金額いっちゃったんですね、
不思議ですね、初対面の人に普通言わないのに。

そしたら、どうしてでしょう、
月光の加減?たまたま信号で止まってた?
運転手さんが後部座席の私を見て
神々しいような穏やかな優しい顔で、
諭すように、決して説教くさくなく、

運「あなたね、それは、決して少なくないよ。
 もしかしたらおじさん(運転手さん本人のこと)より
 多いくらいだよ。
 おじさんは故郷に奥さんと娘がいてね。
 娘はあなたくらいの年頃だけど、
 体が悪くて、今は働くこともできないんだ。

 あなたは、確かに話聞いてると
 お仕事の負担も重くて大変そうだけど、
 世の中にはおじさんちみたいな家もあるんだ、
 決してあなたは悪い環境じゃないよ。
 これからも、あなたはしっかりやっていきなさいね。
 がんばりなさいね。」

と言ってくれて。
一瞬、時が止まったような気がしました。

まもなく、家の前に着いたので
「ありがとうございました」お礼を言って降りました。

2006/02/21