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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)

第172回 故郷カラー

香港の、
日本人社会に暮らしておもしろかったことの一つは、
出身地の色が鮮やかに感じられることです。

香港に来る前は家も学校も職場も
東京または東京圏でした。
地方からの人がいても
東京カラーに薄められて
ちょっと遠慮がちにお国色を感じるくらいだった、
と振り返って思います。

ここでは、
北海道の人はどうどうと北海道、
京都の人はどうどうと京都、
徳島の人はどうどうと徳島、
福岡の人はどうどうと福岡、
のびのびしている感じです。

東京しか知らない私は
今まで知り合っていた地方出身者たちが
実はのびのびできていなかった、
東京スタイルに(意識無意識かかわらず)
影響を受けて制約を受けていたんだな
ということを感じます。

あらためて、自分が常識と思っていたこと
(うちの近所ではみんなこうしてるよ)が
他の地域では非常識なんだということを
絶妙な均衡の中で
びっくりしながら感じています。

出身地以外の土地に転居した人なら
多かれ少なかれ感じることでしょうが
どこか特定の(日本国内の)
土地に移ったとしたら、
その土地のカラーが濃くなって
それが正しい、みたいになってしまいそうですが
幸いにもここはどこの土地のカラーもなく、
どこの土地のカラーもありえる、
そんな場所だから、
正しい正しくない、普通普通じゃない、
という観点からではなく
ふーん、違うんだ。
えー、あなたのところはどうなの?
と重くもなく、責めたりもせず、
交し合える環境なのが、
ラッキーだったなと思います。

2006/02/11