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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)

第166回 故事8 力不足者、中道而廃

『冉求曰、非不説子之道、力不足也、
子曰、力不足者、中道而癈、今女畫。』
冉求曰く、
子の道をよろこばざるに非ず。
力足らざればなり。
子曰く、
力足らざる者は中道にして癈す。
今なんじは画れり。
(「論語」孔子)

「先生のおっしゃることは
ごもっともなんですが、
僕はそれを実行するだけの力がないのです」
という弟子に対して、
孔子は
「君は自分は無理だと言って
自分自身を見限っているだけじゃないか。
本当に力不足ならば、
道半ばで挫折するものだよ。
君はまだ何もやってないじゃないか。」
と叱咤激励したのです。

これは、厳しく優しく強い言葉ですね。
発する側と受け取る側に
愛情と信頼がないと、
まっすぐ伝わらないでしょう。

何かを始める前に
「自分には無理」「まだ力不足だから」
と成功の可能性を計るのは
賢い、利口なことのようにも思えます。
でも、それは一方で、
やり始めないことの言い訳でもあるのです。

やり始めなければ失敗しないし。

孔子は、
(志があって)実力のない人は
道半ばで倒れるものだよ。
努力しよう、達成しようと
一生懸命になるものだ。
(志があって)実力がある人は
目標までたどりつける。

がんばりもしないうちに
力不足なんて言ってくれるな。
賢そうなフリして言い訳するな。

ということを伝えているのだと思います。
これは、弟子への信頼・愛情が
あってこそ、いえた言葉だと思いますけれど。

『力足らざるものは、中道にして廃す。』
物事を始める前に
あるいは努力する前に「できなそう」と
‘賢い’選択をしそうになったとき、
心に思い浮かべる価値のある言葉
ではないでしょうか。」

※勧めてくれる人があって
故事をひもといています。
心に浮かんだことを書き留めていますが
浅学のため解釈がおかしいところが
あるかもしれません。
お気づきの点はご助言いただければ幸いですm(__)m

2006/02/05