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小さなビジネスパーソンの小さな話(門間啓)

第154回 人は鏡

人は、自分の鏡です。
イガイガざらざらしている人に
囲まれていると思ったら、自分の心も
イガイガざらざらしているのでしょう。
明るく優しい人に囲まれていたら、
自分もきっと明るく優しい状態なのでしょう。

そんなふうに思っていました。
「類は友を呼ぶ」っていうし、
自分がそういう人を同じ波長で
呼び寄せちゃってるんだろうな、って。

だから、環境が好ましくないときも
自分自身をどう変えていったら
(自分を映し出している)周囲が良くなっていくか、
工夫と努力をするものだと思っていました。

でも、香港に移住して最初の数ヶ月、
それまでの日本での人間関係とくらべて
とってもやりにくいことが多くて、
「このイガイガざらざらは自分が原因なんだわ、
自分が鏡に映っているに過ぎないんだわ」
と思っていくら改善しようとがんばっても
どうも上手くいきませんでした。

あるとき、ふっと、視点が変わって
「類友」で自分が自分の仲間に囲まれているなら
もっと居心地がいいはず。
居心地がよくないのは
いくらそばにいるといっても「類」じゃないからだ。
と割り切れました。

鏡?たしかに鏡は鏡かもしれません。
でもわたしはそれまで「鏡に映った像」に
ばかり気をとられていたけど
「鏡自身」を見てみたら
擦り傷だらけの汚れた鏡も
ゆがんだ鏡も
色つきの鏡もあるんだ!
ということが見えてきました。

あぁ、だったら映った像も
ありのままの、私が投げかけたものを
表すものでないのは道理だわ、と。

海外に出てきた人は
良くも悪くも
日本で日本の枠にはまりきらなかった人が
少なからぬ割合でいます。

ある面では魅力的でパワーがあっても
ある面では不良品・規格外品。

自分自身、
その枠からはみ出て、来ちゃった訳ですが
はみ出しものばっかりが
(海外在住の人ごめんなさいm(__)m)
寄せ集まっている社会での
身の処し方を知らなかったということです。

視点が変わって、鏡に映った像でだけではなく
鏡自体が見られるようになってからは
「この人はこういうクセのある返し方をするから」
「この人はなんでも色つきで映すから」
とわかって受け止めるようになるので
余計な腹は立たなくなりますし、
割り切れるようになりました。
必要以上に自分を責める、
ということから開放されました。

たぶん、日本にいたら、
ここまで個性的な鏡がたくさんある環境は
そうそうないと思いますので、
(少なくとも私がこれまでいたどの環境も
こんなカラフルではなかった(苦笑))
やっぱり違う心がけが必要なのだろうと
思いましたよ。

2006/01/24