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夫は日本、私は上海(伊勢利子)

第28回 家族の一員になれる?

ホストマザーの私にとって
ある日、突然、育ち盛りの男の子が一人増えるってっことは
やはり、けっこうストレスのたまることなのです。

何をどれだけ食べるのやら・・・お弁当はどうするの?
最初の彼の生活パターンは、どうあがいてもNZ風です・・・

やっかいな「お客様」からなんとか「家族の一員」に
なるまでには、やはりそれなりの通過儀礼を
覚悟しなければなりませんね。

最初が肝心です。1年間という期間を
考えると、まあ、いいわ!いいわ!なんていってられません。

まず、私一人にかかってくる家事を
家族で分担するため家族全員で相談しました。

食事の後片付けや掃除、洗濯など・・・
年齢に応じて、3人の子どもたちに
なるべく公平に分担することを話合いました。

10歳の息子は、食事の後片付けの当番が回ってくると、
最初はいやだといって、泣き叫んでいましたが・・・

夫と私は心を鬼にして息子にも特例は許しませんでした。
だって、他の二人の子どもが
私たち夫婦の態度をしっかり見ていますから・・・
泣きながらでも食器洗いをさせました。
そのうちに、すっかり観念して・・・何食わぬ顔をして
食器洗いをしていました。(笑)

娘との問題とは??
これは想像もしていなかったのですが・・・
思春期を迎えようとしている
娘の前に17歳の男の子が当然現れたのです。

1ヶ月、2ヶ月とたっていくうちに
だんだんいっしょに食事をするのも
嫌がるようになり・・・さて、さて、どうしたものか??
娘も自分でかなり悩んだようです。

娘に理由を聞いても、自分でもどうしてかわからない。
遠い国から日本へ来たのだから
暖かく迎えてあげるのは当たり前と思う。
頭ではとってもよくわかっているの???
でも、それがどうしてもできない・・・

彼のどこが気にいらないの?っと聞くと、
娘もわからず、「すね毛」がいや!!
なんて彼女は答えていました。

まあ、このような問題を、一つずつ乗り越え・・・
1年間はあっという間に過ぎていきました。

Donに留学時代の感想を聞くと
毎日がジェットコースターに乗っているようだった。

今日はいいことがあったかと思うと
明日はドン底!っという感じだったそうです。

そのときには、私は彼の気持ちを想像するだけでしたが、
私も上海交通大学で1年間の留学生活を
送ってみて、ほんとっ!!まったくそのとおり!
とつくづく実感したのでした。

いまごろになって、彼のそのときの気持ちが
痛いほどわかったのです!

その後、娘も息子もそれぞれに海外留学を経験し
きっと、Donの気持ちを十分理解できたと思います。

夫は?というと、ほんと!マイペース
騒がず、あわてず・・・いつものとおり・・・
私はなんだかうらやましいでした。

2007/02/16