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愛と情熱のファイナンシャル・プランニング(伊佐笑子)

第12回 成功へ導くものは

秋の慶事ラッシュで最近頻繁に、
東京や大阪を行き来している。
先日、ちょうど東京にいたとき、
とある異業種交流会で
H.I.S.の創業者(現会長)のお話を聞く
機会に恵まれた。

旅行会社だと思っていたH.I.S.は
あれよあれよという間に様々な分野に進出して
今では金融業界でも有名だ。
会長は創業当時の話から、スカイマークでの
苦悩まで、面白おかしく軽やかに話をすすめた。
小さな失敗話は聞き手の興味をそそり
経営の難しさを垣間見ることが出来た。
しかし、私が一番気になったのは、
次にどの分野に手をつけるのか、を
どうやって決めているのか、ということ。
ホテル事業や、飛行機事業なら
旅行業界に関係のある分野だけれども、
証券をはじめ金融業界に進出するのは
どういう視点から見て確信を得たのか。

お話によると、証券事業への進出は
当時の役員たちは全員一致で反対だったらしい。
全くの異業種、ということが
誰からの賛同も得られなかったとか。
それからしばらく会長自らが役員らの説得にあたり
無事、証券事業への着手をすることになったらしい。

業種をどんどん変えていく会社は昔からある。
三越だって呉服店から百貨店になっている。
今では、逆にどんどん変えていかないと
さっさと姿を消してしまうといっても過言ではないと思う。

何か事業を始めるにあたり、
成功した創業者たちは口をそろえて言う。
「絶対にうまくいく(売れる)と思っていた」
それは確たる証拠はなにもないのだ。
自信があり、そしてそれを信じて疑わない。
H.I.S.会長も格安国際航空券を販売し始めて
すぐに押すな押すなの大繁盛だと思っていたらしい。
ところが半年や一年は全く泣かず飛ばずで
「この国はおかしい」と思った、とおっしゃっていた。

なるほど、これです。
すぐに自分のやり方が悪いのか、何が悪いのか
自信を失って右往左往する人に
成功はやってこないのかもしれない。

実際、会長はスカイマークの経験から
こうもおっしゃっていた。
「ダメならすぐに逃げよう、という考えを
していたら、成功するものもしなくなる。
本腰を入れてから軌道に乗り始めた」

本気になるからこそ、判断も鈍らない。
本気になればなるほど、必死に考える。
逃げ場のない状況に
自分で追い込むことが出来る人に、
一筋の光は差し込むのかもしれない。

2007/10/02