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華南で働く(大道寺健)

第25回 中国華南での企業間競争

私が現在住んでいる中国の華南地域は、企業の集積が
進んでいます。聞いたところによると、全世界で使用される
パソコンの部品の60〜70%を華南地方で生産している
と言う話を聞きました。

また、広州地区に日系の自動車メーカー、ホンダ、トヨタ、
日産が進出しましたので、今、自動車部品に関しても
企業の集積が進んでいるところだと思います。

このように企業の集積が進んでいるので、企業間同士の競争は、
非常に激しいものがあります。世界各国の業者が入り混じって
覇権を競っている段階です。オリンピックは各国の
スポーツ選手が集まって、その優劣を決しますが、
今の中国の状況は、まさに企業間のオリンピックが
行われているような感じです。

香港や台湾に近い華南の地域性もありますが、特に、
香港資本及び台湾資本の企業は、物凄いです。

どう物凄いかと言うと、彼らは資本力にものを言わせて、
最新の設備を導入し、加えてそれに見合う人材も引き抜いてきて、
自社には最新の設備と有能な人材が揃っているので、
これこれこう言うような仕事が出来るといって、
仕事を受注していきます。

このような仕事のやり方には、幾ばくかのやるせなさや
無念感を覚えますが、中国で事業を行っていく上で、
今後も彼らが強力な競争相手と
なるのは間違いのないところだと思います。

また、中国では、儲かると見ると一斉に参入してきます。
例えば、深せんのある地域で、日本人向けの飲み屋が
以前は1軒しかなかったんですが、流行っていると見るや、
次々と店が増え、今では10軒くらいに店が増え、
1,2店を除き閑古鳥が鳴いています。

この傾向は、製造業でも変わりません。需要を鑑みず、
一斉に設備増強に走るので、設備を稼動させる為には、
売値を下げてでも稼動せざるを得ない。中国の自動車産業も
続々と設備増強を発表していますが、今後、多くの業界で
過剰設備が問題になってくるのではと思います。

今年1月の日経ビジネスに中国の華南地区について、
『それでも中国で生産しますか』と言うようなテーマで特集が
組まれていました。そこには、今後中国で生き残っていく為に
必要な取組として、オンリーワンの製品作り、人材や開発の
現地化、労務費の削減等が書かれていました。

深せんではここ数年、毎年のように最低賃金が引き上げられ、
この7月にも引き上げられる予定です。このように、人件費の
安さを目当てにした、労働集約型の産業は、
早晩成り立たなくなることが予想されます。

いずれにせよ、中国での事業展開について、
戦略を見直す時期に来ているようです。

2006/04/19