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華南で働く(大道寺健)

第10回 就職活動記 7

登録時の面談で、いきなり求人先を紹介されましたが、
その紹介された先の勤務地は、深セン。
聞いた事はありましたが、どこに位置しているのかも
詳しくわかりません。面談のときは、緊張しているのもあり、
深く考えることはできなかったのですが、面談も無事終了し、
家に帰ってきてじっくり考えれば考えるほど、
深センのことが頭から離れません。

また、一緒に住んでいた友人にそのことを話すと、
「お前、本当に深センで働くんか」と言われ、
深センで働くと言うことに関して、不安が募り、
非常に混乱してしまいました。

なぜなら、私は、上海で働くものと信じて疑わず、
上海で働くものと決めてかかっていました。少し離れても
蘇州等上海から近いところで働くものと思い込んでいました。

そして、この面談の頃には上海にも知り合いができていて、
これからますます交流が広がり楽しい生活が
送れるのではないかと考えていました。

しかし、深センに行けば、友達どころか知り合いも
一人としていません。
深センに行ったらどのような生活を送るのか?
深センは、暮らしやすいところなのか?
日本人はたくさん住んでいるのか?
お金もないのに、もし面接になったら深センに行かなければ行かないのか?
等々、深センで働くと言うことは私にとって全くの想定外で
あったため、本当に混乱しました。

そして、これらの疑問点をC社の所長に相談してみようと
電話をしたのですが、自分で何を言いたいのかがわかっておらず、
混乱していることが全面に出てしまいました。その電話で
所長さんから、落ち着いて一つずつ考えていきましょうなどと言われ、
ようやく冷静になって考えることができるようになりました。

そして、自分の身を振り返り、以下のように考えがまとまりました。
職を得れば、収入も得て、友達と楽しく生活することに
思いを馳せていましたが、当時、一番重要なことは、
安定した収入を得ることでした。また、紹介してもらった会社に関して、
私が望んでいた職種でしたし、給与も満足できるものでした。

そして、この会社で働くと言うことは、私の将来目標から考えても
非常に有意義なものではないかと思い、逆にここで働けば将来への
選択肢が開けてくるのではないかと考えていました。

そして、職場を選ぶにあたって、私は、給与、勤務地、
希望する職務、よい人間関係等、全ての希望を満たすことは
不可能だと思っています。選択するにあたっては、
何か一つ譲れない条件を決め、それに基づき選ぶべきだと考えていました。

この時、私が就職するにあたっての絶対条件は、
会計関連の職務、最低限の給与でした。このように、
自分の考えの原点に立ち戻って考えてみると、
上海で楽しく過ごすという選択肢も捨てがたいものはありましたが、
深センに行った方が私にとってメリットが大きいのではないかと
考えるようになりました。

それに、まだ面接も受けていない状態であり、
採用が決まったわけでもありません。この話を断り自ら扉を閉じて、
折角の機会を喪失するのももったいないことです。

このようにして、自らの考えがまとまるとともに、
面談への意気込みも高まっていきました。

2005/12/31