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夢の上海(チャイひめ)

第34回 赤ちゃんの言語習得から学ぶ

前回、苦悩して中国語の勉強をしていたことを書きました。

さて、地元の愛媛の親戚に5歳になる女の子がいます。
なぜ急にこんなことを書くのかというと、
私がちょうど中国語の勉強を始めた頃に、
彼女(ももちゃん)が生まれたからです。

言葉の勉強を始めた時間は同じだというのに、
私の中国語は、ももちゃんの日本語には勝てません。

子どもは幼稚園の年中さんにもなると、身の回りのことは何でも言えます。
自分の要求を言葉にすることはもちろん、テレビや絵本の感想も言えるし、
子どもらしい文章ですが、今日の出来事を絵日記に書くこともできます。

それに加えて、ももちゃんは小林一茶や松尾芭蕉の句、
百人一首の短歌なんかも覚えて言うことができるんです。
もうここまでくると、5歳の子どもに完敗ですね・・(涙)。

ももちゃんの幼稚園では、五七五のリズムは右脳を刺激し情操教育に良いため、
授業に積極的に取り入れ、かるた大会などもやっているそうです。
私も李白や杜甫の詩を覚えようかな・・・。

子どもの言語能力にライバル心を燃やすようになったのは理由があります。
彼女が2歳くらいまでは、私の中国語のレベルの方が上でした。

ですが3歳くらいになったとき、ももちゃんはペラペラと文章を話していました。
単語の羅列ではなく、きちんとした「文」です。
むむむ、負けてるかも!?と思っていたところ、私の中国行きが決定。
私はまさに3歳児以下の言語レベルで異国へと旅立ったのでした。

さらに半年して地元に帰ったときにはまた改めて驚きました。
私は半年間、中国人に自分の要求や感情もろくに伝えることはできないし、
まわりの人となかなかコミュニケーションがとれず苦労しっぱなしでした。
が、ももちゃんは家族やお友達と自然に会話をして、
コミュニケーションに全く問題なし、という状態。

私は心底うらやましかったし、悔しくもありました。
(子ども相手に何を、と笑っちゃイヤですよ!)
そこで私は子どもの言語習得について真剣に観察、考察するようになったのです。

言語習得には段階があるようで、私が感じたのは以下の順番です。

聞ける→話せる→読める→書ける

ちょっと前に、英会話スクールのCMでもこういうことを言っていた気もします。
聞く能力がやはり一番大事なんだと気がつきました。

さらに、「聞ける→話せる」の間に細かい段階があることにも気づきました。

1.言葉を聞いて、ニュアンスが感じ取れる。
  「可愛いね」「いっぱい食べて大きくなるんだよ」などという言葉の
   意味は分からなくても、そこにある愛のニュアンスを感じられる。

2.言葉を聞いて、意味が分かる。
   自分の名前が呼ばれていることが分かったり、言葉の意味が分かる。
   話せなくても「お目々はどこ?」などと聞いたら指さしたりできる。

3.言葉の意味が分かって、単語を話せる。
   まずは身近な単語から。「お母さん」や「ワンワン(犬)」など。

4.文を話せる。
   「ジュース飲みたい」「お父さんがおうちに帰る」など。

5.人の口まねをして、色々な言葉や表現を覚えていく。

赤ちゃんの言語習得の過程は自然に行われていきます。
これを、大人が外国語を学ぶ際にも取り入れていけばいいなと思いました。

そう、まずはリスニングの力を身につけること。
話を聞いて意味が分からなければ、話せないし、書けもしないんですよね。

それに、書く機会よりも読む機会、読む機会よりも話す機会、
話す機会よりも聞く機会が圧倒的に多い。
(これは「聞ける→話せる→読める→書ける」の順序でもあります!)
となると、相手の話が分かれば、外国語生活勝ったようなもの!

これに気づいてからの私の中国語の勉強方法は、
テキストでの勉強は一切せず、「とにかく聞く!」の実践です。
聞いて 聞いて 聞いて 聞いて 聞いて ・・・ 聞きまくる!!
テレビの中国語や、まわりの人の話す中国語を
意味が分からなくてもひたすら全身全霊をかけて、意識して聞くんです。

次第に意味は分からなくてもニュアンスを感じられるようになりました。
そして、何度か聞いた単語や表現の意味が分かるようになり、
それまでに聞いてきた言葉が自然と口から出るようになりました。

時々、自分が話した言葉に対してその直後に「あれっ?」と思うことがあります。
「こんな言葉今まで話したことないけど、正しい表現なのかな?」と。
そういう場合は、今まで聞いてきて培ってきた表現が
考えなくても口から自然と出てきたので、正しく自然な表現なのです。

というわけで、チャイひめの語学習得の秘訣は「とにかく聞く」こと。
最近始めた英語の勉強でもとにかく聞いてばかりですが、
たった2ヶ月ですが、英語能力の向上を実感していますので、
この秘訣、かなり実用的だと確信しています。

リスニング中心だと、読み書きがおろそかになるという欠点もあるのですが、
中国語は日本語と同じ漢字を使った言語なので、特に問題ないです。
英語の場合も、中学校からの読み書き教育のおかげで問題ないようです。

これからも、「とにかく聞く」を実践していきたいと思います。


チャイひめALBUMより〜夜の外白渡橋〜

チャイひめALBUMより〜夜の外白渡橋〜

上海バンド近く、蘇州河に架かる租界時代にかけられた鉄橋、外白渡橋。1856年にイギリス人が架けたもの(現存のものは1906年再建)で、租界当時は中国人からは通行料を取りましたが、外国人が架けた橋ということで外国人からは取りませんでした。この写真を撮ったのは、蘇州河ほとりの上海大厦というホテルから。このホテルは昔マンションだったものをホテルにした歴史あるホテル。「上海マンション」や「ブロードウェイマンション」という名前で知られ、男装の麗人にして清朝最後の王女・川島芳子の定宿だったことでも有名です。

2006/10/07