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夢の上海(チャイひめ)

第26回 中国人はナチュラリスト

暑かろうと、寒かろうと、中国人は可能な限り窓を開けて生活しています。
家でも会社でも。時には玄関もあけっぱなしです。
厳しい気候や、防犯の必要などのある場合はその限りではありませんが、
とにかく家中の窓をよく開けています。

私は女の身で一人暮らしが長いので、窓を開けるという習慣がありませんでした。
締め切った家の中で過ごしていたのですが、時々家に来る大家さんにいつも怒られていました。
「なんて空気が悪いんだ!窓を開けて換気しろ!」って(笑)。

中国に住んでしばらくになる私は、だんだんと中国の習慣になじみつつあります。
私も自然に窓を開けて生活するようになってきました。
新しい空気が家の中に入ってくるのは、さわやかなものです。

中国ではおじいさんやおばあさんは、朝によく太極拳をしていますが、
これは体の気の流れを整える気功ですね。
中国人は、日本人よりも気の流れに敏感なのではないかと思います。

そこで興味を持った私は、ハイQコラムニストの関根進さんの著作、
『風水でいいことがたくさん起こる本』を読んでみました。
風水とは調和学だ、という視点のもと、分かりやすく風水について紹介されていました。

「天の気」である宇宙エネルギー(陽の気)、「地の気」である地球エネルギー(陰の気)、
「人の気」は、陰陽を仲立ちして調整させる第三の力で、
「天地人」の三つのエネルギーの調和を最上とするのが風水の考え方だそうです。

また、よい気、よい運勢の住宅には「蔵風聚水」の考えがあります。
清浄な空気、よい運勢を運ぶ風を多く住宅に取り込み、
循環して生気エネルギーや運や財を運ぶ水を置く、というものです。

さて。
仕事上、開発区や工場地帯によく行くのですが、
工場の建物は、投資元のお国柄がよく出ていて面白いのです。

日系企業の工場は、無駄なものは一切ないシンプルな建物が多いと思います。
たいていハコという言葉がぴったりの四角い形で、
外装も無駄な飾りは少なく、白やベージュやグレーのシンプルな色。

欧米の外資企業の工場は、独特なデザインでスタイリッシュな工場が多いと思います。
建物が独特な形をしていたり、カラフルな色の外装も多く、
テニスコートやバスケットボールコートが広々とあったり。

というように、以前から感じていました。
が、風水の本を読んでから気付いたことは、
台湾や香港系の工場は、風水の考えをふんだんに取り入れているのです。

玄関やロビーに大きなお札を貼ってあるところも多いし、
門や屋根には、福を呼ぶ龍や麒麟、お金の神様など縁起ものの像があったり、
入り口に大きな噴水や池などが多くあったり(水気エネルギー)、
風をたくさん取りこめる大きな玄関や窓も多いのです。

中国の地元の工場でも、風水の考えを取り入れている工場も多いですが、
香港・台湾系ほどではありません。

風水は中国生まれのものですが、今、風水が盛んなのは
中国大陸ではなく、香港や台湾です。

それは香港・台湾が大陸より一足先に経済が成熟したから、かもしれません。
もともと無意識的に自然との調和(風水)の考えのある中国人です。

経済がもっと発展し、成熟してくると、
心身ともによりよい運や気を運んでくれる風水について
もっともっと注目されるようになるかもしれません。

中国人は、元来ナチュラリストなのです。

私ももっと本格的に、風水を勉強して、生活の中に取り入れていければいいかなと思っています。
気苦労や大変なことも多い海外生活を、より豊かで安穏のものにするためにも、
自然と調和したナチュラルな暮らしは、いいのではないかと思います。


チャイひめALBUMより〜黄鶴楼(こうかくろう)〜

チャイひめALBUMより〜黄鶴楼(こうかくろう)〜

湖北省武漢市にある黄鶴楼。「故人、西のかた黄鶴楼を辞し 煙花三月 揚州に下る」と李白の詩に詠まれたことで有名です。長江の東岸、長江と市内を一望できる小高い丘の上に建っています。223年、赤壁の戦いに勝った呉の孫権が江夏(今の武漢)に居城を作った際、長江からの敵を防ぐ軍事上の目的から黄鶴楼を作らせました。破壊と再建を繰り返しながら、今に至ります。黄鶴楼の最上階から、ゆったりと流れる長江を見ると、中国の悠久の歴史を感じることができます。

2006/09/09