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夢の上海(チャイひめ)

第3回 ボーダレスな世の中

邱永漢先生は著書の中で繰り返し
「国境の重要性は薄れてくる」とおっしゃっています。

会社の中で中国人と日本人が机をならべて仕事をしたり、
中国各地で様々な国の人が生活をしたりするのは
今では、珍しくもない普通の光景です。
国境の壁が少しづつ低くなっているのはうなずけます。

「黒ネコであろうと、白ネコであろうと、
ネズミを取るのが良いネコだ」
改革・解放政策を進めたトウ小平氏の名スローガンです。
実利を優先し、形にとらわれない
現代の中国人の考え方をよく表した言葉だと思います。

中国は日本以上にボーダレスな世の中なのです。

男女平等な職場で、結婚しても女性が働くのは当たり前。
専業主婦を探すほうが難しいのです。
「これは男性の仕事だ」「あれは女性の仕事だろう」
といった考え方もありません。

私は機械工具の営業という仕事をしています。
日本ではこの業界で女性のセールスマンは皆無ですが、
中国では女性であっても珍しくもなんともありません。

また、依然として「大卒」がステータスである中国ですが、
やる気を出させるための能力主義をとる企業も多くあります。
がんばれば評価される、そういった企業では
中卒の女性が大卒の男性をあごで使うということもざらです。

私が中国で一年半働いてみて実感することは、
日本人は色眼鏡をかけた人が多いのに対して、
中国人は人や物事の本質を見る目を持っている人が多いということです。

ボーダレスな中国だからこそ、
学歴も経験もない若い女性で、しかも外国人の私が
やる気と情熱だけで、のびのびと仕事ができるのです。

2006/01/08