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実験の日記の新聞(坊井重久)

第118回 モーニングセットを食べたくて会社を辞めた私

■モーニングセットを食べたくて会社を辞めた私

なんてうさんくさいタイトルですが、
「本当かよッ」てな感じですよね。
本当なんです。
ただし、半分くらい。

先日芥川賞候補にまでなった
松尾スズキ氏に心酔していた当時27歳の私は、
氏の『大人失格』という初の著書に
偉く影響されてまして。

氏も一度サラリーマンをやったあと、
会社員を辞めて演劇界に入り、あれよあれよと
スターダムにのぼりつめていくわけですが。

『大人失格』では、
サラリーマンを辞めた次の日の描写があります。
これがまた哀歓を誘うとてもステキな文章でした。
要約すると、会社を辞めた次の日、定刻どおりに起きずに、
近くの喫茶店でモーニングセットを食す、
といった話だったと思うんですが、それは芥川賞候補の文章力で、

■ああ、いいなあ、一度体験してみたい

と私なんかは思ってしまったのでした。
一度会社を辞めた理由はそれだけではありませんが、
それも動機のひとつくらいにはあったと思います。
今思うと何ともはや。って感じですけど、
一度辞めるなりして立ち止まり、人生なりを
じっくり考えたかったのかもしれません。
(その後、何回も立ち止まり考えざるを
得ないことが頻繁にあったんですが)

それはさておき、会社を辞めた次の日に
モーニングセットを食べたかって?

薄らいだ記憶では、近くの喫茶店には
モーニングセットがなくて、
仕方なくコーヒーだけを飲んだだけのような気がします・・・。
まあ、マネをしたった完璧にはいかないですね。

(2006年02月12日)

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