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散歩しながら(ぼうちゃん)

第80回 速読術

むかし山手線に乗っていたとき
隣の席のおじさんが本を読んでいました。

ペ-ジをめくるのがすごく早いので
気になって見ていると
1ペ-ジめくるのに1,2,3と数えるくらいの早さでした。

ただめくっているだけでなく
読んでいると分かったのは
その人の目を見たからで、
眼球が右から左へクルクル目まぐるしく回っていました。

後から考えてあれが
いわゆる速読というものだと合点がいきましたが、

そのときは異様な不気味なものを
見たという印象があります。

その記憶があって速読なるものには
関心がなかったのですが、

近頃やたらに本屋にこの手のものが
たくさんあるのに気が付きました。


本は読書そのものが目的で、
ゆっくり時間をかけて楽しむものと、
仕事に必要な知識を得るためのものと、ありますが、

楽しむものは何時どこでも読んでも自由ですが、

仕事のため、知識のため、自分の投資
として読む本は最小の時間で最大の効果を
あげることが求められます。

学生のように読書する時間が
たっぷりある人はいいが、

仕事を持っている人は
読書にさける時間は限られているので、

時間を節約して
必要な知識だけを得る工夫が必要です。

そのためにビジネスマンは
たくさんの本を読まなくてはならないだろうから

限られた時間で多くのものを読むには
この速読術に関心が向くのでしょう。


「10倍速く読める速読術」とか
「年3000冊読める読書法」

などという本がたくさん出ています。
さてそれではそういうハウツー本が本当に効果があるかどうか。


私などはすべての本を
最初から最後まで読むわけではありません。

同じ1冊でも、お手軽なハウツー本は
電車の中で30分あれば読めてしまうが、

ちゃんと読むと時間がかかります。
大事なのは、何のために読むのかという

目的を明確にして
必要な部分だけ読むことです。

重要なことは、
何を理解したかということで

単なる知識を得るだけなら、
パソコンの検索でも用は足りますからね。


読書は知識を身につける手段であって、
たくさん読むことが目的ではないのですから

10倍速く読んでも3000冊読んでも、
その内容が身についていなければ
何の価値もないと思いますが

はたして電車の中のおじさんは
あの早業で読んでしかも
中身を的確に把握していたのだろうか。

どなたか速読の効果を実際に体験した人はいませんか。

2011/09/12