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散歩しながら(ぼうちゃん)

第53回 石が流れて木の葉が沈む

被災地で300枚毛布が届いたが、
避難所に500人いるので、
平等を配慮して一枚も配らないということがあったそうです。

これは平等を配慮ということではなく、
誤った答をすることへの恐怖だと思います。

300枚を500人に配るには、正解を出すことができない。
そういう場合にお役所の秀才たちは
回答することそのものを止めて、
あたかもそのような問題は存在しなかったかのように
繕います。

よりましな答えを出すことより、
誤らなかったことを喜ぶのです。

秀才たちは平時においては有能ですが、
限られた資源、限られた情報、限られた時間の中で
最善の答えを見つけることは不得手です。


そういう訓練を受けていません。
そういう人たちに有事の危機管理を任せるというのは酷です。
武道と宗教ではこの訓練も可能ですが
ここでは言いません。


被災地ではかならず率先して
その時に何が必要か判断し支持した人がいたはずです。

そしてかならずそれに待ったをかけた人がいて
上の支持を待とうといった人がいたはずです.


有事に適切にふるまうことができる人と
誤った答をすることへの恐怖心の強い人が
かならず集団の中にはいたと思います。


結果はすべてが後手後手となり
そのおかげで食料や毛布が届かず
助かる人も助からなかった。
そういうことだと思います。

 

6月1日のニュースにまた根っこの同じ話がありました。

NHKニュースによれば茨城県石岡市の救急救命士が、
交通事故現場にたまたま居合わせ救命措置を行った。

ところがそれが非番の日だったので、
法令違反として停職6ヶ月の処分が行われた。
それで依願退職したという。


石岡市消防本部によりますと、救命士の男性は、
勤務が休みだったことし4月、
静岡県の東名高速道路で交通事故の現場に
居合わせた際、

けがをした男性の腕に注射針を刺すなどの
救命処置を行ったということです。


法令では、救命処置を勤務時間外に行うことは
認められておらず、
処置をとる際に本来は必要とされる
医師の指示も受けていなかったということです。

また、注射針などは、業務以外に持ち出しを
禁じられた消防本部の備品だったということです。


石岡市消防本部は、法令に抵触する可能性が高いとして、
救命士を先月31日付けで停職6か月の懲戒処分にし、
男性は依願退職しました。


消防本部の調査に対して、
救命士は「震災後、同じような事態が起きた際に、
すぐに処置できるよう備品を持ち出していた。
注射をしたのは、搬送先の病院で
すぐに手当てを受けられるようにするためだった」
と話しているということです。


石岡市消防本部は
「人命救助を目的とした行動であっても許されないことで、
再発防止に努めていきたい」と。


このようにホザイています。

日本はキチガイ国家になったようです。

石が流れて木の葉が沈むとはこのこと。

情けなくて涙も出ません。

2011/06/02