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散歩しながら(ぼうちゃん)

第4回 食べ物が合わないと

一日のうちで好きな
気持ちよい時間というのがあります。

仕事が終わってほっとしたときを除けば
午前十一時過ぎがそれです。

春うららの日
秋のぬけるような青空の日
小春日和は
もちろんのこと
冬の寒い日でも
やはり一日のうちで
一番気持ちの良い時間が
昼前のいっとき。
珠玉の時間帯です。

この時間、仕事が一段落したときなどは、
隣の母屋に行き
紅茶を淹れてもらいます。
庭に楠木の樹があり、鳥の巣作りを見たり
日向ぼっこの老母にひと言話しかけたり。
母は痴呆ですがまだ私の名は忘れていないようです。

先日、その時間に若い女性を診ていました。

付き添いで来ていたその人の母親が
赤ちゃんを抱いて待合にいました。

赤ちゃんはよく熱を出し、
お腹をこわしては医者に行き、

ミルクは飲まないし、夜泣きをして眠らず、
こんなに小さいのに点滴をされて、
いつも目の下に隈を作っているということです。

私の治療範囲ではありませんが
その一歳の赤ちゃんを見ると
ほんとに元気がありません。

そこでミルクは何を飲んでいるか聞きますと
▽乳業の▲というミルクだそうです。

まったくこの子には合わないミルクだと
私に反応するので
試しに○○のミルクに変えてごらんと言いました。

たまたま若いお母さんが
薬局ス-パ-のチラシを持っていたので
その中の乳製品の中から合うものを選んだのです。

数日してからまた三人で来ました。

夜によく眠りミルクを飲むようになり、
医者に行ったら
ずいぶん元気になったね、
どうしたのと言われたそうです。

ウソみたいに変わったのです。

食べ物がいかに身体にとって大事なのか。
私はいつも実感しています。

お礼だといって大根三本くれました。

オレは赤ひげ先生かい、と思いましたが
しかしこの子の人生にとって
大きな宝になったと思います。

いいことしたよ、
というところです。

2011/01/14